人気ブログランキング | 話題のタグを見る

レイモンド・カーヴァー

レイモンド・カーヴァー_e0033314_18303984.jpg
頼むから静かにしてくれ〈1〉
レイモンド・カーヴァーというひとは稀な人間だと思う。
本を読むときにどんな人がその本を書いたかというのは一番最初にチェックしてしまう項目のひとつだ。

経歴
製材所の職人や病院の守衛といった職を転々としながら創作活動をする。

文章を書くという作業から一見遠いところにいるひとのように思える。
短編小説が多いのだが、その一篇を読み終えてすぐわかった。
このひとの文章はオリジナルであり、早々真似出来るものではない。
そういう意味でこのひとは一流だ。

レイモンド・カーヴァーの短編小説は、読んでいて正直「よくわからない」という実感が残る。
文章を読んですぐにそれゆえに頭が痛くなってしまう人間も多いだろう。
この一冊を読んでいて僕が思ったことは
すべての話において、
人間が噛み合わなく、入れ違い、不協和である。
でもそこには読ませるだけのものがある。
あれこれ考えてみたのだけれど
上の3つにしたって現実に起こっていることである。
それをうまく書き上げていることに魅力があるのではないか。
言葉にするとそういう感じになっちゃうんだけど、言葉にできない良さも感じる。
村上訳だからというか、新訳だからというか難しい言葉もなく読みやすい。
なかなかいい本だと思うのだけれど、小説を読むたびにホンマ趣味なんやなって思う。
実用書とは違って、すぐに何かに役に立つってもんじゃないしね。

by yoshi_kyoto | 2006-05-08 18:57 | book  

<< 大学生であるという実感 原子力計画:日米が高速増殖炉活... >>